【レポート】産業分野で利用できるAWSのIoTサービスと活用方法(AWS-12) #AWSSummit
こんにちは、yoshimです。
本記事は、2022年5月25日(水)に行われたAWS Summit Onlineのセッション「産業分野で利用できる AWSのIoTサービスと活用方法」のセッションレポートとなります。
こちらのセッションでは「産業分野におけるIoTのユースケース代表例4選」と「それらユースケースを実現する際に活用可能なサービスと組み合わせ」について紹介されていました。
セッション
タイトル: 産業分野で利用できるAWSのIoTサービスと活用方法(AWS-12)
製造業、エネルギー、鉱業、自動車、農業などの産業分野のお客様は、新しいデジタル技術を活用して、より迅速で優れた意思決定を行っています。このセッションでは、新しいデジタル技術のうち「IoT」に注目し、産業分野でのユースケースや、AWS の各サービスを用いた実現方法をご紹介していきます。 *「添付ファイル」タブで本セッション資料をダウンロードできます。
スピーカー: AWS ソリューションアーキテクト 飯田裕太
セッションレベル: Level 200: 初級者向け
産業分野におけるIoT
- 大型の設備を扱う設備産業(ex.農業、運輸、鉱業、エネルギー)において設備に対するDXが進んできている
- このDXの一つとして考えられるのがIoT
産業分野におけるIoT・クラウドの活用例
- 設備に対してIoTで行えることは多岐にわたるが、本セッションでは以下4パターンを代表例として紹介する
- 設備状況の可視化
- 分析による業務改善
- 予兆保全・品質予測
- 外観検査・画像解析
設備状況の可視化
- これまでは現地の端末で確認していた情報をクラウドに一元管理することで、情報の一覧や比較が可能となる
- アラートを発報することもでき、データドリブン、イベントドリブンな業務活動につなげることもできる
- 収集データが増えても、クラウドなら柔軟に対応できる
分析による業務改善
- データレイクに様々なデータを蓄積、横串で分析することで新たな知見を得る
- ex.なんらかの問題発生時に別の場所でなんらかの予兆があったか
- クラウドに大量のデータを溜め込むことが重要になるが、クラウドなら「容量無制限かつ各サービスとの連携性が高いストレージ」が「従量課金」で利用できるので、低コストでデータレイクを運用できる
予兆保全・品質予測
- 故障やトラブルが起きる前にその予兆を捉えて保全し、設備の稼働率を向上させる
- 設備の運用データやセンサーからデータを集約することで実現する
- 大量のデータを保管しそれらに対する分析を行なっていく必要がある
- クラウドなら必要なリソースを適宜調達することができるので適している
外観検査・画像解析
- 「予兆保全・品質予測」と似ているが、画像を扱うため難しい
- 機械学習が役に立つ
エッジとクラウドのハイブリッド構成で実現
- 上記のユースケースは設備側(エッジ)の設計や対応も必要になり、クラウドだけでの実現は困難
- なので、各ユースケースで必要な機能は「エッジ側」、「クラウド側」で分担することとなる
- 分担する際は、それぞれの特性を活かした機能配置を行うことが大事
- 現地の特性を活かす処理はエッジ
- ex.産業設備との接続・データ取得・データのフィルタリングや計算、現地環境内での低遅延処理、ネットワーク不良時に備えた自律稼働
- 大規模処理や保管能力が必要な処理はクラウド
- ex.データの長期保管、データの分析・可視化、機械学習モデルのトレーニング
- 現地の特性を活かす処理はエッジ
産業設備のデータ可視化のためのステップと構成
- 処理の基本的な流れ
- ゲートウェイ装置を現地に設置、ゲートウェイ装置が様々な産業設備と接続、データを収集し、クラウドにデータを送信
- クラウド側はデータを受け取ってデータ処理や可視化やアラート発報等
- AWSサービスの適用
- ゲートウェイに「AWS IoT Greengrass」をインストールし、産業設備との接続やプロトコル変換、クラウドとのメッセージ送受信を実施
- クラウドは「AWS IoT Core」、「AWS IoT SiteWise」でデバイスからデータを受け取る
- クラウドは「AWS IoT SIteWise Monitor」、「Amazon OpenSearch Service」、「Amazon Managed Grafana」、「Amazon QuickSight」で可視化・監視・アラート発報
- AWS IoT Greengrass
- AWSが提供するソフトウェアとサービス。エッジデバイスにインストールして利用する。
- これをインストールしたデバイスを産業用設備と接続することで、エッジ処理を行うための基盤が出来上がる
- 各産業機器をインターネットに接続することは難しいので、エッジ側のゲートウェイを外付けの機能として挟んでおくことでクラウドとの中継役として活用できる
- AWS IoT SiteWise
- エッジから受け取ったデータを利用するためには色々な処理(ex.構造化)が必要なのですが、そのために必要な機能を提供するサービス
- エッジ側のデータは必要なもののみをクラウドに送信するのが理想。「SiteWise Edge」という機能を利用することでエッジ側でデータのモデリング、フィルタリング、計算が可能
- ex.可視化に向かない、利用に適さないデータは送信するだけコストがかかって無駄。
蓄積・分析による業務改善のステップと構成
- データ蓄積、加工、保存が必要となる
- また、データの連携性やコストも重要な項目
- AWSサービスの適用
- ゲートウェイに「AWS IoT Greengrass」をインストールし、産業設備との接続やプロトコル変換、クラウドとのメッセージ送受信を実施
- クラウドは「AWS IoT SiteWise」でデバイスからデータを受け取る
- クラウドは「AWS IoT Analytics」、でデータ分析・加工を実施。「Amazon S3」でデータを蓄積・各サービスとの連携のハブにする
- AWS IoT Analytics
- IoTデータを簡単に分析・加工するためのサービス
- エッジから送られてくるデータに含まれる「無効なデータ」、「異常なデータ」を除外したり、外部データソースからデータを加えてデータを強化することも可能
- Amazon S3
- AWSが提供するオブジェクトストレージ。もはや説明不要
産業設備の予兆保全・品質予測のためのステップと構成
- 今までよりもクラウド側での分析がより高度化する
- 必要であれば、クラウド側で機械学習のモデルを学習する
- 推論処理を低遅延に実施する必要がある場合はエッジ側にモデルをデプロイする必要がある
- AWSサービスの適用
- ゲートウェイに「AWS IoT Greengrass」をインストールし、産業設備との接続やプロトコル変換、クラウドとのメッセージ送受信を実施。場合によっては「Amazon SageMaker」で学習したモデルを取得、活用する
- クラウド側は「Amazon Lookout for Equipment」、「Amazon SageMaker」を使って機械学習タスクを実施する
- Amazon Lookout for Equipment
- 機械学習を利用し、センサーデータから設備の異常検知を実現する
- 機械学習の知識なしに利用可能
- Amazon SageMaker
- 機械学習プロジェクトを効率的に進めるためのツール群
- 出力したモデルをエッジ側に転送し、エッジ側で推論処理を実施することが可能
- AWS IoT Greengrass ML Inference
- SageMakerで学習したモデルを取得し、エッジ側で推論処理を実施する
- エッジ側で推論処理を行うことで、「低レイテンシー」、「帯域幅の節約」、「規制やプライバシーへの対応」等が実現できる
外観検査・画像解析のためのステップと構成
- 「産業設備の予兆保全・品質予測」とステップは殆ど同じだが、「使うデータが画像である」という点が異なる
- AWSサービスの適用
- ゲートウェイに「AWS IoT Greengrass」をインストールし、外観画像の撮影、クラウドへの送信を実施。また場合によっては「Amazon Lookout for Vision」、「Amazon SageMaker」で学習したモデルを取得、活用する
- クラウド側は「Amazon S3」で画像データを受け取り、保存。「Amazon Lookout for Vision」、「Amazon SageMaker」で機械学習モデルの学習、「Amazon SageMaker Ground Truth」でラベル付け
- Amazon Lookout for Vision
- 製品の外観検査を低コストで導入し、品質検査プロセスを自動化できるサービス
- 画像に対する異常検知をするための一連の流れをGUIで実現できるサービス
セッションのまとめ
- IoTで行えるソリューションの代表例として4パターンを紹介した
- これらを実現するためのAWSサービスも、使い方と合わせて紹介しました
感想
産業現場でのIoT活用の代表パターン4種類と、その際のAWSサービスの構成例の紹介でした。 本エントリーでは詳しくは踏み込みませんが、元のセッションでは各AWSサービスについてより詳しく説明されているため、より詳細を確認したい場合はセッションの資料を参照してください。